新型フィット(4代目なのでFIT4と呼称)はヤリスほど尖っては見えませんし、MAZDA2ほど上質さもありませんが、嫌味のない見た目がとても良い印象の車です。しかし、よく言えば「飽きがこない」ですが、悪くいうと「特徴がなく中途半端」に見えてしまいます。そして、従来のトップグレードである「RS」はFIT4にはありません。
それであるが故に、他のコンパクトカーと比較すると売れていないと書いたのは先日の記事です。そのフィットにスポーティーなエアロや内装の、「Modulo X」が追加されました。
私はこのニュースに心躍りました。ひょっとして従来で言うところのRSが、ModuloXと名前を変えて再び販売されたのでは無いかと!
しかし、残念ながら期待値ほどの仕様ではありませんでした。
- 見た目は派手すぎず上品なのは良いが、心臓はおとなしかった...
- 1.0L 3気筒ターボエンジン(129ps)+6MT搭載という密かな期待は裏切られた
- i-DCDからe:HEVに変わったが、スポーツHybridはどこへ向かうのか!?
- ヤリスはGRを追加して勢いを増しているが、ホンダはどうするのか?
- FITが売れない理由は以前の記事の通りだが、ヤリスが売れている理由を考察
- FITが好きな人は、次のビッグマイナー時期(2023年?)まで待ち
- 少し気になる識者のレビュー
見た目は派手すぎず上品なのは良いが、心臓はおとなしかった...
内外装は専用装備で他のグレードとの差別化ができています。
それでいて派手すぎないところがとても上質で良いです。
さらに、足回りも専用装備で走りを期待させてくれます。
しかし、心臓部であるエンジンとミッションが他のグレードと同じでした...。
一番他とは差別化して欲しいところだったのですけれど...ね。
1.0L 3気筒ターボエンジン(129ps)+6MT搭載という密かな期待は裏切られた
Modulo Xがリリースされることは、プロトタイプの頃から記事を読んでいたのでわかっていました。プロトタイプでは従来のハイブリッド+足回り+エアロ+内装の変更だけだったのですが、Modulo X追加のタイミングで、RSグレードの追加があって、さらにそのRSをベースにModulo Xを...なんて期待を密かにしていました。
そのRSには新しい欧州Civicに搭載する 1.0L 3気筒 VTECターボエンジンの搭載を...なんていう期待をね。
このエンジンを、商品としての魅力の少ない現行 FITのラインナップに加え、他のコンパクトカーよりもパワフルな車へと進化させることがあるのではないか?と期待していました。
しかし、残念ながらこれもありませんでした。
これはホンダファンや従来RSに乗っていた方々も、残念に思ったのでは無いでしょうか?
どなたかのブログで、以前のFIT RSからヤリス 6MTに乗り換えていた方がいました。
MTを買わないまでも、MTを出すことで車好きな方が購入する。そうすることで、社外メーカーもパーツの開発に着手する。そしてMT以外のグレードの人気も上がっていくという構図は十分成り立つのでは無いかと思うのですけれどね。まぁCivicはTYPE Rがあっても、びっくりするほどは売れていなかったのでしょうから、なかなか理解されなさそうですが、そもそも車の価格帯が違いますから、可能性はゼロでは無いと思います。
ヤリスだって、ラリーのイメージやGRヤリスが、スポーティーに見せたCMをよりスポーティーに見せているに違いありません。これでGRヤリスと通常のヤリスでパーツが共有するようなことがあったら、通常のヤリスはさらに売れるに違いありません。
i-DCDからe:HEVに変わったが、スポーツHybridはどこへ向かうのか!?
Modulo Xがハイブリッドであることは、カーボンニュートラルを掲げている事を考えると致し方ないとしても、ミッションがi-DCDやCR-Z時代のマニュアルなどになっていたら...と期待していましたが、それもありませんでした。
FIT4にはパドルがないのですが、i-DCD時代のスポーツHybridというコンセプトはどこに行ってしまったのか...
e:HEVに変わって2モーター式になり、進化はしていると思いますが、運転の楽しさにはエンジンを操る楽しさも含まれるわけで、ハンドリングだけでは無いのですよ...。
だからVTECに惹かれる人は多かったわけですし。
本当に残念無念....。DCTの新型でも搭載して、スポーツドライビングもOKと言えるハイブリッド車になっていたら、この車が300万円でも購入検討することは間違いありませんでした。
しかし、外装と足回りだけではちょっと魅力にかけますね。
普通に街中を走るだけならそもそもModulo Xでなくても良いわけですし。
ヤリスはGRを追加して勢いを増しているが、ホンダはどうするのか?
今回のModulo Xで、少なくとも外装や内装のスポーティーなパーツは揃ったように思います。あとは次のビックマイナーチェンジ(2023年頃?)で、「RS」なのか「TYPE R」なのかに期待するしかないのでしょうかね?
とは言え、TYPE Rは流石に無いと思いますので、やっぱりRSでしょうか。
出来ればターボではなくNAで、気持ちの良いエンジンを出してくれると良いのですけれどね。
せめて、従来のCivicで使っていた、1.5L VTEC ターボでもいいですけれど(*´艸`*)
そんなエンジンがFITに搭載されたら熱い車になるでしょうね。
見た目はおとなしいだけに、そのギャップには少々萌えますよ。
そうでもしないと色々な社外パーツは開発されないでしょうし、つまらない車のまま終わってしまいそうです。私は非常に好きな外装なので、この車で運転が楽しめるならば、今の車から乗り換えても良いかなと思っているぐらいですし、現在販売しているコンパクトカーの中では一番好きです。
ぜひ、FIT4をトヨタに負けないコンパクトカーに育て上げて欲しいです。
FITが売れない理由は以前の記事の通りだが、ヤリスが売れている理由を考察
以前FITが売れていないことの考察は記事にしているが、ヤリスが売れている状況についても考察したいと思います。CMでも走りを全面に押し出した印象です。実際売りの一つになっています。ある意味、欧州車を狙っているのでしょうね。
もともと欧州でヤリスと呼ばれていた名前をそのまま使っていることからも想像できます。しかし、この新型ヤリスについては、以前ここでも書いていますが、非常にチープな内装で、オートパーキングブレーキも付いていません。
FITにはオートパーキングブレーキはもちろん付いていますし、日産 ノートにも付いています。私が現在の車を買った時に、買い替えてよかったと感じた装備の一つでもあります。(もう一つはシートとハンドルのヒーター)
これがヤリスにはないのです。(GRヤリス RSには装備されたので、次のマイナーチェンジの際に、ノーマルヤリスにも装着されると予想されます)価格帯はほぼ同じなのに!です。
機能も劣り、さらに内装はかなり旧世代な感じでチープなのに、なぜにヤリスが売れてFITが売れないのか?ノートは以前のモデルから搭載しているe-POWERが完全にヒットして、モーターで動く新しい車として魅力があるので売れているのだと思います。
しかし、FITとヤリスは従来と同じNAエンジンとハイブリッドが選択でき、積載性+快適性と乗り心地重視のFITに対して、スポーティーでありながら燃費の良いヤリスという比較になります。おそらくこのコンセプトの時点で大きく差が開いたのではないかと思います。
というのも、積載性を考えるならば、いまや軽のハイトワゴンの方が積載性が高いのは間違いありません。しかもハイトワゴンで売れているのは奇しくも同じホンダのN-BOXです。
そして、従来であれば、乗り心地や快適性などが普通車よりも劣っていた軽自動車は、N-BOX 以外も含めて、従来のコンパクトカー並みに向上してきました。安全性も普通のコンパクトカーと比較しても劣る点は少ないです。
これが、FITが売れなくなってきた理由の一つにあり、ヤリスがFITよりも売れている点では無いかと思います。
軽自動車を含めた現在の市場に、スポーティーな走りと燃費を売りにしたヤリスが見事に刺さったように思います。
- 普段は二人 / 一人しか乗らないから
- ちょいノリがほとんどだから
- 通勤用だから
いずれも、燃費やスポーティーな走り(いわゆる通勤快速車です)が、FITよりもマッチするように思います。
そしてあの格好良さです。内装はチープと先ほど書きましたが、外装は間違いなく格好良いと思います。FIT4の柔らかさというか丸さも可愛いという印象を持つ方はいらっしゃると思いますが、格好良さで言ったらやっぱりヤリスの方でしょう。
GRヤリスがそのイメージをさらに引き上げていると思います。
車に乗らない人にどちらを選ぶか聞いたら、可愛い見た目のFITの方が人気があるかもしれませんが、大抵の場合は運転者が車を選びます。そうなると、見た目はもちろん、走りが良い方がいいに決まっています。そして、走りが良いのに燃費が良いという相反する要素に対して、どちらもFITを上回っているのです。
これならばヤリスが売れるのも理解できます。
FITが好きな人は、次のビッグマイナー時期(2023年?)まで待ち
ヴェゼルが好調な様子ですが、ステップワゴンもオデッセイもトヨタに完敗している状況だと思います。さらにFITもヤリスに完敗な状態で、AQUAのモデルチェンジがやってくることになるので、スポーティーが刺さらなかったユーザーでFITを選ぶ層にもトヨタのAQUAが刺さってくる可能性が高いです。そうなると、さらにFIT4の販売台数は下がってしまうことでしょう。
しかし、ホンダはFIT4を見捨てることはないと思います。
現在フリード、ヴェゼルが普通車の販売台数を支えていますが、FITが今以上に売れなくなると、本当に軽自動車に頼るしかなくなってしまいます。
無限がdashとかskipという形で2パターンのエアロを出していて、十分格好良さを秘めていることは感じています。私の中ではekシビックのような、明らかな強さというよりも一見弱そうに見えるけど、「実はすごいんです」的な要素がFIT4にはあると思っています。
無限 | FIT | フィット | PARTS | カラーバリエーション
次のビッグマイナーチェンジで、見た目にそぐわぬ鋭い走りをするFIT4をラインナップに加えてくれることを期待します。
少し気になる識者のレビュー
残念に思っていましたが、レビューを読むとみなさんベタ褒め...。
この理由は正直文章だけでは伝わらないので、実際に試乗をしてみたいと思っているのですが、残念ながら近場に試乗車はありませんでした。
無いと余計に乗りたくなりますね。できればワインディングで。
ホンダさん試乗車を増やしてくださいw